【見城徹 アデンアラビア】彼が若かりし頃、世界はポール二ザンのあの一言で凝縮されていたのかもしれない

【見城徹 アデンアラビア】彼が若かりし頃、世界はポール二ザンのあの一言で凝縮されていたのかもしれない

見城徹さんのtwitterアカウントに興味深い、投稿がありました。

1931年、第二次世界大戦がちょうど勃発した時代。

フランスの哲学者であるポール・ニザンは26歳の若さでその青臭の反逆の精神を象徴するかのような文言であらすじを書き上げました。

「僕は20歳だった。それが人の一生で一番美しい年齢だななどと誰にも言わせない」

そして次の言葉に続く。

「何もかもが若者を破滅させようとしている。恋、思想、家族を失うこと、大人たちのなかに入ること。この世界のなかで自分の場所を知ることはキツイことだ」

いつの時代にもある若者の熱烈な思想なのかもしれない。

現実に対する希望や夢よりも、悲壮漂う現実を見ている若者特有の視点が強烈なメッセージ性と共に添えられている。

社会変化の著しい現代は、その急速な変化にも対応できずに生きている人も多いだろう。(嫌味はない)

ポール・ニザン自身は政治家、思想家、小説家として、社会に対して強い怒りを込めた冒頭を飾るアデンアラビアを執筆している。

ヨーロッパでは資本主義への反対運動が勃興し、共産主義の力も強まっていた。

彼自信も共産党員に入党していた経歴がある。

本の内容自体が母国フランスを取り巻く社会問題に関して自分の解決策を見出そうとするエッセイ。

東洋へと足を運ぶことで、自分の置かれた環境から思想まで深く明瞭に考えるキッカケとなり旅に出る。

その土地こそが、アラビア半島のアデンだった。

しかし現実は母国の社会環境とさほど変わらず、落胆する。

20代の怒りを綺麗な感情で抑えることなどできず、青臭い文体が印象を強く残す作品。

見城徹さんが紹介したポール・二ザンの有名な一言。

若さの熱狂がたぎるほど、この言葉に感化されずにはいられないだろう。

僕は二十歳だった。それが人生でもっとも美しい季節だなんて誰にも言わせない。


アデン、アラビア/名誉の戦場 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-10)